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Mount Angel Abbey Library//Alvar Aalto

1965〜70 St. Benedict Oregon USA

 

アメリカなのにアアルト?そうなのです。

シアトルより南へ250kmの町、ポートランド。 その市街は、理想的な都市計画が近年になって進められ、住と職が一体となった町を形成していました。

日本でいうと、代官山のような、人気のある都市。

観光客にとっては、交通の便があまりよくなく、この他に見るべきものがないため、建築好きでもなかなか訪れることがないようですが、

ポートランドに住む友人Michaelのお世話により、訪問が実現しました。

 

 

ポートランドから車で1時間ほどの丘の上、セコイヤの木々と共にそれはひっそりと建っていました。

北欧に行ったことのない私にとって、アアルトとのはじめての対面となりました。

 

窓の格子と扉の引き手にアアルトの印を確認。 紛れもなく、アアルト! 気持が高まる瞬間。

 

エントランスホールは、天井が低く抑えられ、規則正しくペンダント照明がぶら下がっています。

アアルト特有の波打った格子状の仕切りの裏はクローク。

ホールを抜けたドアの向こう側、階段を数段下がってカウンターゲートがあります。

 

丸いトップライトからの光が、エントランススペースの暗闇を 印象付け、

さらにその暗闇がその向こうに広がる豊穣な空間を より輝いて見せています。

そして、閲覧室。明るくやさしい光のシャワー。

人はどんな光に包まれながら本を読みたいか。

アアルトの誠実な思いが伝わってきます。

 

 

天井や、壁の微妙な角度は、美しい光のグラデーションを作り出すために考え抜かれて いることが判ります。

スキップしたフロア―の構成は、光のシャワーを下の階まで届けます。 そこに余分な施しは、全く見当たりません。

どうありたいか。という強い願望は、必要を超えうるのだと言う事を目の当たりにしました。

 

プランのジョイントの部分に設けられた、ピクチャーウインドウ。

アアルトは息抜きの装置も忘れません。

ブースになった閲覧スペース。

ここでもやはり光にニュアンスを与えています。

 

エントランスホールの隣に、小さなホールがありました。

閲覧室に比べると、こじんまりしていて、壮大さはないけれど、空間領域を表した格子状の天井、

室内に陰影をもたらすハイサイドライト、波打つような音の反射板など、全てがアアルトしてました。

 

 

人によっては、この建物はあまり評価しないようだけれども、私にとってはとても 清々しい、キュートな宝物を見せてもらった心地のする、いい建物でした。



アアルトは次のようなことを言っています。



I start drawing, giving free rein to my instinct.And suddenly the basic idea is born, a starting point.

The purpose of architecture is still to bring the material world into harmony with Human life.

The most difficult problems for architecture occur in the attempt to create forms which are based on real human values.



真の人間の感覚を一番に大切にして建築のあるべき姿を追求したアアルト。

その場で、どのようにありたいかという衝動から生まれた空間には、豊かさが一杯詰まっていました。



そして、同時に

For a moment I forget all the maze of problems, I erase them from my mind and busy myself with something which can best be described as abstract art.



芸術家であることを追及する、建築家のあるべき姿をそこに見たのでした。

 

この日の最後はオレゴンのワイナリーで終えました。 1日付き合ってくれた、Michael&Mikeに感謝です。